DeNAのwelq(ウェルク)炎上問題これまでの経緯のまとめ
welq(ウェルク)の炎上による非表示に続いて今回DeNAの代表自らパレットと呼ばれる9つのキュレーションマガジンを非表示にすると言う発表があった
ネット界隈に詳しい方やtwitter、はてなブックマーク等のSNSで状況を逐一把握していた人以外はいまいち状況が分からない人もいると思うのでここでまとめてみようと思う
下記は代表自らの謝罪文と9つのキュレーションマガジンを閉鎖する事に関する発表をしたものとなっている
代表取締役社長兼CEO 守安功からの一連の事態に対するお詫びとご説明 | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】
welq(ウェルク)炎上問題のはじまり
そもそもどこからwelq(ウェルク)の炎上騒動が始まったのか、私の把握している中で一番最初に声が上がったのはカツシンさんのこの記事だと思う
この方は元々ウェブサイトを運営する事を仕事にされている方でウェブサイトの運営者という位置づけになる
以前は160万PV程度のアクセス数があったのだが、それが70万PVまで落ち込んだと言う話をされていた
その原因は何かと探って行くとwelq(ウェルク)を含むDeNAのキュレーションマガジンなどに多くの検索アクセスがあったキーワードで上位を取られた事によるアクセスの減少があったと話されている
特に気持ち的に許せなかったのは画像や文章の構成等を流用した上で莫大な資金力を背景に記事の「リライト」を行い、自身のサイトが狙っているキーワードを独占した事について書かれている
サイト運営者同士はtwitterなどのSNSで多くは繋がっている
それはいつも新しい情報を入れておきたいという部分があるからだが、その際にある程度影響力を持っているSNS上のインフルエンサー達がこの問題に目を向けたのが炎上のはじまりだったと思う
Googleの検索アルゴリズムについて
通常Googleの検索アルゴリズムではまったく同じ文章があった場合には後から書かれた記事がコピーコンテンツとして扱われ評価を下げる様になっている
しかしここでいうリライトというのはいくつものサイトから良い部分だけ集めて、「部分的に」修正をし繋ぎ合わせる事でより検索上で評価される様な形にして記事にするというものだった
Googleの検索と言うのはお金を貰って検索順位を動かす事は絶対にない、それはGoogle検索と言う検索エンジンの信頼がユーザーに対して無くなった場合には、検索エンジンを使う人の総数が減る事で主な収益源となる広告収益も下がってしまうし、ターゲットに連動した広告を配信するGoogleに対する広告主の信頼を失ってしまう為だ
その為Googeは検索上での不正にはとにかく厳しい事をサイト運営者は知っている
だがここでひとつの問題が生まれた、コピーコンテンツではあるが人間が言い回しを変えたコンテンツ(リライト)であればGoogle側も検索上でオリジナルかどうかを判断する事が出来なくなってしまうという問題だ
今回一般の報道ではあまり注目されていなかった部分だが、オリジナルのコンテンツがあるのにも関わらず、自分で考察する事なくリライトし大きな資金力で大量のライターに書かせてオリジナルのコンテンツを潰してしまうというのは元の記事の制作者からすればとても許せる事では無いと思う
ネットにあまり触れる事が無い人であれば元の小説があるのにも関わらずその小説の言い回しだけを変えて出版した場合や、元の雑誌のコラムの記事を見ながらまったく知識が無いのにも関わらず他の雑誌で連載していたという認識であれば分かって貰えるのではないだろうか
welqが行った記事のリライトの危険性について
リライトの危険性はあくまで名も無き有象無象のライターがどこかの記事から引っ張り出して来た情報を元に記事を書いてしまう点にもある
そのライターが知識が無いのにも関わらず「命に関わる問題」に対して記事にして上げると言う事は、場合によっては本当に大事な場面で人の生死に関わる問題をはらんでいる
10月の後半に「死にたい」というwelq(ウェルク)の記事が1番目に表示されている事を受けてtwitter上のサイト運営者の間では内容が不適切ではないかと話題になっていた
この記事にはそう思った時にどうやって解決するのかと言う内容を書いていたのだが、その中にある転職サイトの性格診断を行う事で自分の良い所や悪い所が見つかるという風に書かれていた
これは一般的に見てもNGなのは分かるし、そもそも広告主がそういった生命に関わる内容について、もしくは不適切な内容について掲載する事を許可していないという規約自体を破っていた
下記規約を参照
https://www.af-mark.jp/r-next/affiliateappealngword.pdf
welqの医師の監修について
謝罪文ではこの様に書かれている
今後は、MERYを含めた全てのメディアに関して、私自身が委員長となるキュレーション管理委員会を通じて、これまでの記事作成のプロセスおよびその中身の精査をしっかり行います。さらに、今後の当社のメディア運営のあり方を抜本的に見直し、自分自身として心の底から自信の持てるプロセスを構築していくことを約束します。
これまで多くの記事を低い単価で作成して来た訳だが、これについて最初は医師の監修を随時行い、その上で記事ごとに不適切な内容に関しては通報フォームを置くとしていた
だがそれから一週間しない内に今回の発表に至る事になった
現実的にいうと記事の1ページビュー辺りの単価と言うのは普通の人が思っているよりはずっと低いと思って貰っていい
そんな中で利益を出していく為に外注の安い料金のライターを雇っていた訳だが、普通に考えて医師を雇って監修をすべて行っていたのでは割に合わないのだ
そもそも、医師の仕事よりも医師の監修の仕事が儲かるのなら医師なんてやっていない、それだけ高額な費用が発生する事が考えられるため編集側ではリスクはいくらか把握していたとしても踏み切るに至らなかったのではないかと思う
記事作成のコストが月の収益を超えてしまってビジネスとしても成り立たない
他のサイト運営者もどの様なキーワードで戦略的に行えば、監修費用を考えても収益を維持出来るのかそういった事も考えて来たのではないだろうか
取材費用も考える事もなくリライトするというのはそれだけの苦労を無為にする事に等しい
twitterではこの様なコメントも寄せられている
『信頼あるかわからないサイトの記事監修して、監修者として自分の名前出されるとか絶対イヤだよ』とも妻(内科医)が申しております。これが普通の医師の意見だろうね。俺も医師だったらイヤだわ。 #ウェルク
— マナ (@webmaster_mana) 2016年11月30日
実にシュールなバイトが来ました。1万件ほどあるWELQの非公開記事を好きなの選んでいいから1件につき1,2万で修正・監修するというもの、笑。BuzzFeedさん、頑張ってください!https://t.co/4b76FODXON
— 村中璃子/ RIKO MURANAKA (@rikomrnk) 2016年11月30日
記事への監修の対価を受け取る代わりに医師は実名と顔写真等を載せなくては信憑性は取れないと言う事を考えれば、医師側にはメリットは考えられないだろう
現在welqだけでインデックス数は74700件に昇る
※SEOチェキを参照
これだけの数をひとつひとつ監修するのにどれだけの費用と時間が掛かるのか
20人の医師がひとり1日5件を監修し20人体制で行ったとする
1日100件の監修で合計787日掛かる計算になる
費用としては7870万〜1億5000万程だろうか
今回行政が動かなければ監修し終わる迄にこれだけの時間が掛かる可能性もあったのだ
twitterでの動き
永江さんが問題提起をしている医学デマサイト「Welq(ウェルク)」について、都の健康安全部と相談しました。私が指摘するまでその存在を認識されていなかったのですが、すぐに調べて強い危機感を持って対応を検討して下さっています。方向性が見えたら、追ってご報告させていただきます。 https://t.co/d7AA1fCz9R
— おときた駿(東京都議会議員 /北区選出) (@otokita) 2016年11月28日
ウェルクの件でテレビ局がいよいよ取材攻勢です。DeNAも可哀想に。(ワニの空涙)
— Isseki Nagae (@Isseki3) 2016年11月30日
こちらは今日も健康安全部と話したところ、厚生労働省と連携してこうした運営会社や情報サイトに対する厳格な対応を進めていくとのことです。同様サイトの危険性も認識されています。
— おときた駿(東京都議会議員 /北区選出) (@otokita) 2016年11月30日
>医学デマサイト「WELQ(ウェルク)」が全面非公開へ! https://t.co/u7HA5JVqgq
東京都健康安全部から呼び出し喰らったら、そりゃすぐに停止するわ。
— Isseki Nagae (@Isseki3) 2016年11月29日
で、今後も薬機法違反や健康被害を与えそうな情報を垂れ流しているWebを発見して会社所在地が東京なら東京都に連絡するのが一番いいんじゃないか。連絡して調べて翌日に呼び出しかけてくれるなんて、仕事早すぎ!!
welqの体制整えて再トライとか言ってるけど、専門家に同じボリューム書かせたら億単位の投資で数年かかる。内部にレベルの高い専門の編集者が多数必要。パクリしかやったことないからできると思ってるのが見え見えで草
— Isseki Nagae (@Isseki3) 2016年11月29日
これまでに何回も何回もweb上では所在不明の医療情報と記事のパクリ問題については言及されて来た、だが今回影響力のある人伝いに何回も何回も伝わって行く事で行政が動き今回の非表示と言う結果になったのだ
ネットで活動している層はうんざりする程見てきた問題だが、都やマスコミ、一般の消費者達が動かないと今回の結果にはならなかったと思う
そもそも一般のネットユーザーの多くはこういった問題に気付く事なくその記事が信用出来る物として判断する可能性が高い
問題提起をしているのはごく限られたネットリテラシーの高い層だけに限られてくる
その証拠に病人に○○先生の記事を読んで手当てしたのだがと病院に来た患者が間違った対処をした事でやけど跡と布が付いて状況を悪化させてしまったという話も出ていた
実は勝手に引用した上で行数を稼ぐ為に必要の無い情報と結びつけ誤認させてしまったというのが原因だ。それほどまでに一般の人達から見ればこれが正しい情報とは判断出来なかったのである
welq誤認、welq患者などtwitterで検索して行くと医師や一般ユーザーのリアルな声が見えてくる
DeNAのWELQの件、水素水にガン抑制効果とか酷い記事(広告)でアフィ稼ぐとか、思いっきり「優良誤認」狙う悪質サイトだし、薬機法、著作権法だけでなく、景表法からも攻められないのかなー。課徴金制度とか使いどころだと思うんだけど。行政には、ありとあらゆる方面から締め上げてほしい。
— 杉下京子@飯テロねずみすきー (@kyouko_sugisita) 2016年11月30日
場合によっては通報フォームと医師の監修告知だけだしてそのままだった可能性は高い
DeNAキュレーションマガジンのリライト記事監修問題
リライト記事への監修問題も残っている
どこの記事からリライトをしたのか、そのリライト元がそもそも判定出来ない
どう考えても外注のライターが家でPCと睨めっこしながら記事作成を行っていた訳で、そもそもどれが世に出して良い記事かそうでないかは恐らく編集側も判断する事は出来ないだろう
今回経営側は非表示及び精査の上でネット上に出していくという方向で動いているのだと思うがリライトによる記事のパクリ問題は解消していない
恐らく経営層もwebメディアの知識等は無くなんとかなるのだろうという考えもあるかもしれないが、正直これどうすんのレベルの状態になっている
砂上の楼閣が崩れてそれを元に戻せるのか、そういったレベルの内容だ
DeNAのキュレーションマガジンが犯した最大の過ち
今回DeNAのキュレーションマガジンが非表示になったのは、恐らく上場企業であるが故に株価への影響も大きく、またコンプライアンスの問題も絡んで来た為だと思う
結果として企業の上にある株主や行政等の意向には即座に反応したがそういった物が無ければ下からの意見が上層部迄通ったのかは定かではない
今後より良い形でWebメディアが作られて行く事を期待して終わりにしておきたいと思います
※追記新情報
新情報が入りました、キュレーションメディア統括(現シンガポール在住)の方とWebTechAsiaの親交があって立ち上げに参画していたという情報が入りました
相当詳しい人じゃないと知らないと思いますが、このWebTechAsiaはYoutubeも転載しまくり、BUZZNEWSというバイラルメディアでヨッピーの画像も無断転載して稼ぐだけ稼いで逃げてしまったシンガポールの企業です。普通にDeNAの事業に参画させるとかはありえないなと個人的には思いました(たぶん代表はそういう経緯を知らない気がします/追記:知ってました)
ライターが書いたから転載であった事は知らなかったと言う、WebTechAsia側とヨッピー氏の問答では結局サイトを閉鎖すると言う結果に至ったのですが、短い期間でグレーな手法を取り税金は日本に入れる事なくシンガポールへ逃げてしまったという形です
ライターに責任があるという風にグレーな手法を取ったのはwelqの対応と被っている事がわかります(おそらくグレーな手法を耳打ちされたのかと類推出来ます)
ちなみにDeNAキュレーションの統括もシンガポール在住でおそらくそちらで親交があったのかもしれません、ただネット界隈ではWebTechAsiaのブラックなエピソードはかなり知られているはずです。グレーな繋がりがバレないと思っていてもどこかで露呈してしまう時代なんですよね
村マリさんがWebTechAsiaと親交があって立ち上げに関与してるってめっちゃ黒いやん。(どちらもシンガポール在住だった気が)、BUZZNEWSってパクリまくりでヨッピーにぶっ飛ばされた所だよ! / “DeNA守安氏「認識が甘…” https://t.co/iPDFvPIzva
— SHIJIN@SHIJINBLOG (@gustave_buzz) 2016年12月1日
☆MERYの非表示に続いてピンタレストやインスタグラムなどを使った画像ロンダリング問題が浮上して来ました