中学生の少女の書いたブログの一文とある小説家の綴った一節
最近ブロガー仲間の友人がひとりの少女が書く文章に気付き彼女の存在を知らせてくれた、その子はまだ若い女の子の書き手だというのだ
私は彼女の文章を読んでいてこの一文にとても心を躍らされた
私がブログを始めたきっかけの詳細をお話しますと、たまたまはてなブログの記事を見かけたことから始まります。
その記事がとても面白くて、その方の他の記事も十数個一気読みしてしまいました。こういう形で自分を発信していくこともできるんだなと思ったときに、スマホのメモ帳に入っている日記や本の感想などの、誰の目に付くこともない文章達のことを思い出したのです。
考えるよりも先に行動するタイプの私は、たまたま見つけた記事を読み終わってから数分後にはもうブログを書き始めていました。
杏里の随筆より引用
そして昔好きだった小説家が芥川賞に至るまでのきっかけを思い出していた
その作家は村上龍
彼は高校時代に学校の校門をバリケード封鎖したりと当時の学生の中でも特にアウトローな人物だった
彼は高校を卒業し美大を目指した、だが才能に恵まれる事の無かった龍は受験に失敗する
美術系のアートスクール(美術系の専門学校/予備校)の様な物に1年程通い美大には受かるのだが彼の性格は高校からそう変わる事も無く美大生として真面目に勉学に励む訳ではなく仲の良いガラの悪い連中との暮らしを送っていた
美大の4年時には就職出来るのか、卒業出来るだけの単位を取れるのかすらも彼にはわからなかった、横浜の米軍基地のある港町、そこでの生活は酒とドラックと女に溺れる生活になっていた
彼はまどろむ夢の中にいるかの様に現実に向かい会う事が出来なくなりつつあった、自分の選んだ道だったはずなのに自分が何者であるのかがわからなくなっていた
そして薄暗い部屋の片隅である一文をその場にあったメモに書き綴った
飛行機の音ではなかった。耳の後ろ側を飛んでいた虫の羽音だった。蠅よりも小さな虫は、目の前をしばらく旋回して暗い部屋の隅へと見えなくなった。
(村上龍 『限りなく透明に近いブルー』 講談社文庫 1978年)
彼は24才のありのままの現実を綴った
その一節の文章を綴った時にもしかしたらこの文章の一節を最後まで小説として書き切る事が出来るのではないかと思ったそうだ
そして彼は自分の現実を写したかの様に散らかった部屋から前に書き留めていたノートを探し出し、これまでに書いた文章をまとめて最後まで書き切った
それが24才の衝撃的な現実を書き綴った「限りなく透明に近いブルー」である
その文章は辛辣な彼自身の現実をそのまま落とし込んだ内容で当時のアカデミックな小説の在り方を根底から覆した
単行本、文庫本で367万部売った芥川賞作家としての記録は今も尚破られていない
限りなく透明に近いブルー
『限りなく透明に近いブルー』(かぎりなくとうめいにちかいブルー)は、村上龍によって書かれた小説。村上龍のデビュー作であり、代表作である。
第19回群像新人文学賞受賞を受けて、『群像』1976年6月号に掲載された。
同年7月5日、第75回芥川賞を受賞。7月9日、講談社より単行本化された。
装丁は著者自身が手がけている。 発行部数は単行本131万部(2005年現在)、単行本・文庫本の合計で367万部(2015年現在)に達する。芥川賞受賞作としては史上1位(単行本部数のトップは又吉直樹『火花』)。Wikipediaより引用
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